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アイシングっていいんですか?

「ランニングをした後や、野球に試合で投げた後など膝や肩などアイシングを

していますが、これって有効ですか?」と、

患者さんからよく聞かれることがあります。

 

今回は、アイシングについての私の経験からお伝えできることをお話いたしま

すので、参考にお読みください。

1.アイシングって何?

アイシングとは、氷や水などを用いて身体を局所的に冷却することをいいます。

また、「アイシング」は、クライオセラピー(=Cryotherapy)ともいわれ、

cryoとは「冷たい」という意味。therapyは「治療法・セラピー」という意味です。

 

つまりアイシングとは「冷却療法」のことを指します。

 

プロ野球のピッチャーが投球後、肩に盛り上がるほどのアイシングパッドを入れて

インタビューしているシーンを目にすることがあると思います。

 

一般アスリートも、ハードな練習をした後のリカバリーとして、

 アイシングパッドで患部を冷やしたり、時にはアイスバスに浸かる方もいらっしゃる

そうです。

2.なぜ、アイシングをするのか?

スポーツ選手は、常に自分の記録やパフォーマンスなど、自分の限界の中で

試合や練習で身体を使い、繰り返し繰り返し酷使された筋肉がオーバーヒート

寸前の状態に陥ることがあります。

 

そのような身体へのリカバリーとしてアイシングは2つの効果が期待できます。

 

    筋肉痛の軽減

酷使された筋肉は熱を持ち、その状態は軽い炎症をおこしているので、

アイシングで患部を冷やすことで炎症を軽減し筋肉痛も抑えることができます。

 

    血流アップ

冷やした後の身体は、元の体温に戻ろうとするので血流がアップします。

その時に疲労物質も効率的に除去し回復速度を早めてくれます。

 

一般的には、アイシングのメリットはこのように言われています。

3.応急処置で冷やすことがある

ねんざや打撲といった、ある程度、重症なケガの場合には、

身体が必要以上に反応してくるため腫れや強い痛みを感じます。

 

その時の過剰反応に有効とされるのが、RICE(安静、冷却、圧迫、挙上)

いわれる応急処置です。

 

“冷却“は、必要以上の炎症を抑えるために、あくまで一時的に冷やす

ことで部分的に血行を悪くして、痛みの緩和や内出血、強い痛みに

よる患部周辺の緊張を和らげる効果があると言われています。

4.アイシングをしないプロアスリートもいる

試合の後やトレーニング後に、有効なリカバリーとしてアイシングを

しているアスリートは多いのですが、その一方で、プロ野球で50歳まで

プロ野球の第一線でマウンドに立ってきた山本昌投手は、アイシングを

しないそうで、ご本人は、このように語っています。

 

20代半ばまでは、トレーナーの勧めもあってアイシングをしていました。

ただ、何か違和感がありました。アイシングをした翌日、何だか重い感覚が

残るんです。そこで、先発で勝てるようになった20代後半ごろからアイシ

ングをやらないようにしました。」

 

また、元大リーガーのマリアノ・リベラ投手は、

 

「冷やすと筋肉が硬くなって、回復が遅くなる気がするんだ。

アイシングをしないから、帰るのはいつも一番だった。」とも語っています。

5.アイシングのターゲットである炎症ってそもそも何?

 

アイシングの目的の一つとして炎症の抑制がありますが、

炎症っていったいどういう状態なのでしょうか?

 

炎症を起こしている周辺は、腫れや熱など不快感を感じる場合がありますが、

この時、体内の中では損傷した組織に血液をどんどん集めて、白血球を中心に

 

一大修復作業が行われているのそうです。

 

血液をどんどん患部に集めるため、プロスタグランジンという

ホルモンの一種が血管を拡張します。プロスタグランジンには、血管を開くほか、

痛みを起こしたり、発熱をする働きがあります。

 

そのために炎症には痛みや発熱などの不快感を伴うことになります。

 

ですので炎症とは体にとって悪いことが起きているのでは?と思われがちですが、

痛みや熱を感じるのは、実は、“体をしっかり治しているよ~“という

サインだとも言えるのです。

6.アイシングは、すべき?すべきではない?

RICEでは、一時的に冷やすことで回復を早めることや、

アイシングをすることで疲労を残さず翌日迎えることができるなどの

効果があるようです。

 

 

アイシングなどリカバーをして、ぐっすり睡眠をとり翌日には心身ともに

元気になるような“生理的疲労”には、アイシングは有効かもしれませんが、

慢性的な痛みを抱えている方には、アイシングはかえって回復を遅らせて

しまう場合がありそうです。

 

その場合、アイシングすることより、身体を温め血行を良くして損傷個所

周辺に修理に必要な栄養を送り続けることが必要だと感じています。

 

こちらに来られるスポーツ障害でアイシングを繰り返し行っても、

一向に改善しない患者さんには、一旦、アイシングをやめてもらい、

その後の体の状態を確認してもらいます。

 

同時に、痛みで緊張し過ぎた筋肉を柔軟にしていき、お風呂に

ゆっくり浸かることをお勧めします。(お風呂の入り方は別の機会に譲ります。)

 

慢性的になったスポーツ障害の患者さんは、このような対処をすることで、

比較的早期に、以前のように試合やレースに復帰されています。

 

私は、アイシングはその時の身体の状態で使い分けが必要だと感じています。

 

大切なのは、実際ご自身でやってみてどうだったか?ということが一番だと思います。

 

やってみて、一向に改善しなかったり、痛みが増したり、不快な感じであればやめて、

やり方を変えてみればいいと思います。

7.まとめ

山本昌投手は、ご自身のコンディション作りの柱として、

「与えてもらうばかりでなく、自分の体を自分でよく知っておくことも大切。」

おっしゃっています。

 

一般的常識や情報を鵜呑みにせずまずやってみて、どう感じ、どうするか。

一流の選手の考え方だと、私は感じますし、この姿勢を見習い行動していきたいものです。

 

大好きなスポーツができないことは、生活のバランスを崩してしまうほどの重大な事件です。

正しい方法で、1日でも早く復帰できることを、願っております。

 

何かお聞きしたいことや質問があればお気軽にご連絡ください。

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