セルフケアを行う上で、まずは、痛みを起こす原因を知ることはとても大切なことです。
そうすることで、セルフケアで狙う筋肉の場所や、やり方など工夫でき、
より効果的なものにすることができます。
2.半月板に負担をかける動きとは
半月板損傷の、痛みを起こしている場所とその原因となる場所は異なる場合があり、
セルフケアはその原因である箇所にアプローチしていくものです。
半月板損傷の患者さんを診ていくと共通点があります。
足首の関節、または、股関節、もしくはその両方の関節周辺の筋肉が
硬くなってしまっている方が多く、それらの筋肉を柔軟にすることで、
膝への負担が減り痛みが軽減するケースがあります。
2-1.半月板に負担をかける股関節の要因
近年、【ヒップ・スパイン・シンドローム】という表現が
医療業界で定着してきているようです。
ヒップは股関節、スパインは背骨のことで、
股関節の動きが悪いと、背骨をはじめいろんなところが痛くなる
可能性が高いとなるという考え方です。
このことからも、膝の痛みを改善していくには、
膝以外のケアはとても大切なことと言えます。
股関節の動きは、歩行動作をはじめとしてスポーツなどで
素早く方向転換するような動きなど膝との連係動作でスムーズな動きができます。
股関節の筋肉が硬くなり、動きが悪くなることで
膝関節に無理な動きが加わることがあります。
膝関節は曲げ伸ばしの真直ぐな動きには強い、蝶番(ちょうつがい)の
ような構造をしていますが、一方、膝を中心に回転させる動作“回旋”には
弱い構造をしています。
httpswww.csnt.co.jpより出典 httpswww.kansetsu-itai.comより出典
病院などで、半月板損傷の判別するために、膝に負担をかける、
「アプレイテスト」・「マックマレーテスト」(下図参照)という
検査法があります。
膝関節の弱い動きであるに”ねじれ”を加え、痛みを感じるようなら、
半月板損傷の疑いを判断するものです。
先程お話ししましたが、歩行動作では骨盤の前後運動が必要なわけですが、
股関節に関わる筋肉が硬くなることで、骨盤の前後運動ができなくなり、
その負担が膝関節の回旋を誘発して痛みにつながるのではないかと私は考えています。
股関節周辺の筋肉を柔軟にすることで、膝に過度な回旋を繰り返すことなく、
普段の生活やスポーツにおいても、痛みを感じることなく動かせる大きな要因であると言えます。
2-2.足関節の要因
多くの半月板損傷の患者さんを診ていると、足関節周辺の筋肉の硬い方が多く、
そのことが、足本来の機能を損なわせて、膝への負担をかけると思われます。
(1)足関節に関わる筋肉の硬くなり膝への衝撃が強くなる
足は下の【図】のようにアーチあり、
歩きや、走ったり、ジャンプなどで着地するときに、
アーチがしなることで衝撃を吸収してくれます。
httpwww.saiseikai-mkj.jpより出典
足裏の関節には数多くの筋肉がくっ付いています。本来であれば、
この筋肉の伸び縮が足裏のアーチのしなりを生み出します。
httpwww.i-l-fitness-jp.com より出典
しかし、足関節周辺の筋肉が硬くなると、アーチの機能が低下する場合があります。
足裏と共に膝へも衝撃が過剰に伝わるようになり、
関節内の半月板に負担をかける可能性があります。
(2)足裏のアンバランスな着地が膝に余分な回旋を生じさせる
足関節に関わる筋肉の柔軟性にアンバランスが生じると、
足裏全体で体を支えることができず、一部で支えるような偏ったものになります。
下の【図】のように、歩行や走る時など足裏が地面に着地する様な時に、
土踏まずが、沈み込むような状態になります。
httpsinogashira.s358.comより出典
足は、全体重を支える部位であり、土台と言えます。
その土台がバランスを崩してしまうと、
その上にある膝関節のバランスも崩してしまいます。
それは、膝の関節を構成する、太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)の
関節面の接地が崩れ、半月板に負担をかけてる状態になってしまいます。
図のような、膝な内側に入り、つま先が外側を向く(“ニーイン・トゥーアウト”)
ような状態も、膝関節に負担をかける一例と言えます。
httpswivo-c.comarchivesより出典
3.半月板に負担をかける硬くなった筋肉
半月板に負担をかける動きを解消するためには、
動作に意識をすることも大切ですが、そもそもそうなってしまった原因に
対処しなくては早期改善にはつながりません。
私は、多くの半月板損傷の患者さんを診てきたなかで、
膝関節に負担をかける股関節や足関節などをはじめ硬くなった筋肉が、
膝関節の動きを不安定にして半月板に繰り返し負担が加わることで
痛みを起こす大きな要因であると考えています。
セルフケアでは体の過敏な状態を取り除き、筋肉の柔軟にすることが必要になります。
4.セルフケアのための大切なポイント
筋肉を柔軟にするためには、
ストレッチ、マッサージ、柔軟体操、バランスボール、
ストレッチポールなど様々あるかと思いますが、
患部に痛みを感じているような場合のケアは、
どのようなケアが必要なのかお話しします。
4-1.神経過敏を作らないセルフケア
強い痛みが続いている場合、患者さんの中には、
患部の近くに手を触れようとするだけで痛みを感じてしまう場合があるくらい、
体が外部からの刺激に対しても敏感な状態なので、
体に力が入りっぱなしの状態であり、筋肉も常に縮まり硬くなっていいます。
NTT東日本 関東病院のHPより抜粋
『ケガや病気、あるいは手術などで痛みを感じると、
この痛みの刺激は中枢神経に記憶されます。これは一種の「痛みの中枢への感作」と言います。
この中枢への感作によって、常に脳や脊髄が刺激されると、痛みの原因になる刺激がなくても、
脳はいつも痛みを感じ続けてしまうことがあります。ケガや病気が治っても、
その部分がまるでそのケガや病気が起きているかのように、痛み続けてしまうわけであります。
単なる慢性痛と違うのは、末梢神経がこの痛みの記憶の影響で、過敏になっているため、
風が吹いただけ、ちょっと触っただけでも、強い痛みを感じる点です。』
https://www.ntt-east.co.jp/より抜粋
痛みを伴うことで体は外部の刺激に対して過敏な状態にあり、
体を積極的に動かすような運動は、過敏な状態を助長しかねないので、
まず避ける必要があります。
痛みを早期に取り除くセルフケアでは、体への過剰な刺激を減らし、
神経の過敏な状態を取り除くことが、筋肉を柔軟にするための大事な要素と言えます。
4-2.筋肉に負担をかけないセルフケア
こちらに来られる患者さんに、今までやってきたケアをお聞きすると、
ストレッチやマッサージをやってきたけれど、良くならず、
返って痛みが増してしまう方も少なくありません。
実際にストレッチのやり方を見せていただくと、
「痛たた、、」と痛みを感じる位、伸ばしている方が多い傾向にあります。
体に痛みを伴う場合は、、必要以上に筋肉が伸ばされると、
体の防衛反応が、筋肉が傷つかないよう
無意識に筋肉を縮めるため、強めのストレッチが、返って
逆効果になる場合もあるようです。
これは、伸張反射といい、急激に筋肉が伸ばされると、
筋肉と腱のなかにあるセンサーがはたらき、「筋肉を縮めろ!」と
命令を出すため、強いストレッチは、伸張反射でかえって筋肉を
縮めて伸びにくい硬い筋肉にしてしまいます。
もし、今までのストレッチでは効果を感じられないようでしたら、
筋肉に負担をかけないためにも、ゆっくり伸ばし、物足りないくらいで長い時間止めて、
伸ばすことよりも、伸びることを待つくらいお方が効果的かもしれません。
これから、ご紹介するセルフケアは、ストレッチも応用しながら
体がリラックスでき、筋肉に負担をかけずに行えるものです。
つづきは、「半月板損傷改善のために必要なセルフケア(その3)」
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