Yさんは、社会人になってから、職場の先輩に誘われ軟式野球のチームに入って10年になる方です。
大学まで硬式野球部でピッチャーをしていてので、
社会人になってからもピッチャーを任されていたそうですが、
ある時、全力で投げ終わった時に鈍痛を感じ始め、
そのうち、全力以外の投球でも痛みを感じるようになったそうです。
キャッチボールでも遠投でも痛みを感じるのですが、
かろうじて手投げなら痛みを感じなかったので、ピッチャーはせず、
肩が痛くならないように野手としてだましだまし試合に参加さえていたそうです。
しかし、試合に出ていると手投げだけでは対応できないような場面はでは、
つい肩を使って投げてしまうことがあり、その時はうずまるほどの激痛を感じてしまうそうです。
そのようなことが続くと、Yさんは、「もう以前の様に楽しく野球はできないのか?」と
何とも言えない悔しさにさいなまれていたそうです。
以前病院へいくと、お医者さんからは「野球肩」と診断を受けました。
レントゲンでは骨には問題がなく、ストレッチを教えてもらい、
しばらく野球は休養するように指導を受けました。
急用も十分とり、そろそろ良いかなと思い、再びボールを投げたのですが、
再び激痛を感じてしまいました。
「治療に取り組んだのに、これでは完治は不可能では?」と思い、
それからは、だましだまし野球に参加してきたそうです。
でも、試合に負けてしまうことが続くと、「自分が投げていたら、、、」という思いから、
やがて、再びマウンドから“思いっきりボールを投げたい”と。
という気持ちが日に日に増していき、再び治療に取り組もうと思ったそうです。
いろんな治療院へ行ったり、インターネットや動画などで、よい治療法や、
インナーマッスルのトレーニングやストレッチ法など片っ端から試したそうですが、
なかなか効果が見られず、インターネットで調べ、たまたまこちらを知ったそうです。
最初に来られた時のYさんの肩の状態は以下の通りでした。
・小学校から大学まで野球一筋でケガをしたことはない
・普段の生活では痛みは感じない
・シャドーピッチングでの痛みはない
・上向きで寝た状態から万歳をしていくと、腕が伸びきる直前に肩の奥の方に痛みを感じる
・ボールを持っての投球では指からボールが離れる瞬間が一番肩に痛みがあるということ
・痛みの出る投球距離と強度は、塁間を超えると痛みを感じ、
全力投球を100%とすると60%の強度でボールを投げると痛みを感じ始める
以上のことが、問診と動作確認をすることができました。
Yさんの体を診ていくと、お尻を含めた股関節周辺の筋肉に硬さを感じましたので、
まずは、そこを緩める施術をメインに行いました。
施術後、万歳をしても肩に痛みを感じることがなかったので、
お家で行ってもらうセルフケアをお伝えし、様子をみるために一週間投げることはお休みしてもらいました。
2回目に来られた時も、前回の施術後のまま万歳での痛みは全くなかったので、
股関節周辺と合わせて肩甲骨や肩関節の動きを邪魔している筋肉を緩めるための施術していきました。
野球肩の患者さんの場合、肩だけではなく投球動作に関わる筋肉や
関節の動きを改善していく必要があります。
投球動作は全身の複雑な動作で成り立ち、特に股関節のような動きの起点となります。
httpwww.koriyama-h-coop.or.jpより出典
大きな筋肉が硬くなってしまうことで、大きなエネルギーを背骨→肩甲骨→肩→肘→手首→指先と
伝えることができません。
連鎖のどこかにエネルギーを伝えることができずブレーキがかかってしまうと、
それを補おうとしてほかの部位が必要以上に頑張ってしまい、
それが力み動作を生じさせてしまうと私は考えています。
名投手のピッチングフォームは、ムチの様に全身がしなやかに動きます。
股関節から出た大きな力を、しっかり指先まで伝えている表れだと思います。
Yさんは、大学まで野球をずっと続けてきましたが、肩を含めてケガの経験はありません。
でも、私の所にこられる野球肩の患者さんは、高校や大学までバリバリ野球をされて、
社会人になって肩を痛めてしまう方が多くいらっしゃいます。
そのような患者さんを診て感じることは、社会人になって練習環境が急に変わったことも
その要因の一つではないかということです。
Yさんの場合は、学生時代の練習漬けの毎日から社会人になりデスクワークと環境が急変したこととで、
体が硬くなった原因ではないかと思われます。
そして週末の試合では、学生時代のイメージで体を動かしてしまうことも
体に負担をかけていたのでないかと思います。
だからといって、社会人になったら野球を諦めなくてはいけない。というわけではなく、
普段の生活の中で、身体のお手入れすることで、再発することなくボールを思いっきり
投げる可能性は充分あります。
万歳での痛みは無くなったYさんには、痛みの出ない範囲で、
距離と強度を調整してボールを投げてもらいながら、徐々にその範囲を伸ばしていきました。
野球肩では、このボールを投げながら肩の改善していくリハビリ期が重要です。
野球肩がなかなか治らない方の要因の一つに、痛みのない範囲を超えて投げてしまうことが、
体に過緊張を起こし治りにくい体を作ってしまうからです。
痛みを何度も繰り返してしまうと「投げる=痛くなるかな?」という意識がどうしても生じます。
激痛だからこそ、体や脳にも記憶されているはずです。
ですので、投球動作に入ると、痛みに耐えようとして体を緊張させ準備をはじめます。
この防御反応が投球動作を邪魔することでフォームも崩れ、
肩への負担を増幅させる悪循環に陥るので症状を長期化させてしまいます。
Yさんは、痛みの出ない範囲で、距離と強度を増していくことで、
投げることの怖さが無くなり、嬉しさが増していったそうです。
そのころから、「また全力で投げれるかも?」と感じ始めたそうです。
試合では、守備には入らずDHでの参加に徹し、セルフケアも毎日欠かさず続けられ、
お風呂に毎日ゆっくり浸かって体を温めて、睡眠時間も十分とるという生活習慣を改善されていきました。
6回の来院で、遠投をしても痛みが無くなり自信が増してきた様子が話からも伺えられました。
マウンドから投げることができそうな気がしたそうなので、
まずはキャッチャーに立ってもらって、マウンドから投げてもらいました。
ほぼ全力で投げても痛みがなかったので、次の週は、キャッチャーにしゃがんでもらい、
徐々に強度を上げていきました。
今では、Yさんは再びピッチャーとして活躍しているそうです。
「野球ってやっぱり最高です。」と、満面の笑顔でお話しくださいます。
投げ過ぎた試合でも、その後ご自身でケアをされておるので、
再発することなく野球を楽しまれています。
「諦めかけていたのに今ではウソの様です。」と、Yさんはおっしゃいますが、
その通りで、野球肩は原因をしっかり捉え、無理のない範囲でステップアップさえすれば、
治る症状です。
今、悩んでいるようでしたら一歩踏み出しましょう。
そして大好きな野球を再び思いっきりできるようにしませんか。
私が全力でサポートいたします。
からだ は たから だから
ボデイケアたなか
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