腱鞘炎の痛みの原因は手の使い過ぎではなく手の使い方かも

腱鞘炎でお悩みの方から、このようなことを質問されました。

 

お医者さんから、「しばらく様子をみましょう。」と、痛み止めとシップを

処方されやうえで、「手をできるだけ使わないように安静にしてください。」と、

言われました。

「でも、私は主婦なので手を使わないなんてことはできないのです。」

「手を使わないと、本当に腱鞘炎は治るのでしょうか?」と、

 

病院へいってみたものの、お医者さんからはアドバイスされたのは、

実際の生活では中々難しいことで、この方は、困ってしまったそうです。

 

腱鞘炎は、腱を包み込む腱鞘の炎症により痛みが起きる症状であり、

 

一般的には手の使い過ぎが原因と言われています。

httpsgirlschannel.nettopics2236090より出典

痛みを我慢しながら手を動かし続けてしまうことで、

症状を悪化させてしまいます。

 

でも、痛いからこそ、いかに普段の生活で手を使っているかも実感します。

 

・着替え

・洗髪

・歯磨き

・床に手を着く

・箸を持つ

・ペンで字を書く

・髪を結ぶときにゴムを広げる動作

・スマホを指で操作する時

・洗濯物を干す時にしわを伸ばすのにパンパンとする動作

・お茶碗を洗った時に水を切る動作

 

など、どんなに気をつけても使ってしまいます。

 

「じゃあ、どうすればいいの?」と、いう事ですが、

 

その前に、そもそも腱鞘炎になった原因を知る必要があります。

原因を知ったうえで、どうすればいいのか対処できれば、

腱鞘炎の改善は十分期待できるからです。

 

先程も、お話ししましたが腱鞘炎は、手の使い過ぎにより

腱鞘に炎症を起こす症状であると説明しました。

 

でも、中には、「私、仕事でも家事でもそんなに手を使っていませんけど?」と、

おっしゃられる患者さんもいます。

実は、手の使い過ぎとは、手を繰り返し動かす回数もそうですが、

使い方という要素もあり、同じ仕事をしていても腱鞘炎になる方と、

ならない方がいるのはその辺が大いに関わってくると言えます。

 

使い方とは、体の動かし方のクセのようなもので、

体の状態がそれを物語っていることはよくあります。

 

患者さんに、お聞きすると長年肩こりに悩まされている方が多く、

お体を診ると肩はもちろんのこと、ワキ腕にかけて体が硬く、

それらの原因は、体の使い方によるものが大きいと思われます。

 

また、体の使い方には、その方の性格も大きく影響をおよぼします。

その性格とは、責任感が強くまじめで、「こうあるべき」

というものをしっかりお持ちの方です。

 

職場やプライベートでも、気を張る時間が長く、

体の緊張が、指や肩の筋肉を硬くしてしまうため、同じ仕事をしていても、

その方だけは、腱鞘に負担をかけるのではないかと思われます。

 

責任感が強くまじめなことは、好感も持てますし、

人望も厚い方だと思います。だからこそ時には負担も大きのではないでしょうか。

 

頑張ること、力を入れる、緊張することが、普段からのクセになって

しまうことは、体への負担となってします。

だからこそ、力を抜くべき時には、

意識的にリラックスできると、指や体への負担を軽くしてくれます。

 

「意識的にリラックスって簡単に言われても、どうすればいいのですか?」と、

思いますよね。

 

当然だと思います。

だって、無意識のうちに緊張してしまうのですから。

 

そのために、まずお勧めしたいのは、少しでもいいので

自分の状態を知ろうとしてみることです。

 

 

無意識を少しだけ意識化するということです。

 

例えば、

「あ~こういう時にも私って、肩に力が入っているんだな。」とか、

「今、息止めていたかも!」みたいな感じで、

どんなに些細な事でも、気づくことです。

もう一人の自分が自分を観察するようにしてはいかがでしょうか。

 

患者さんからは、「今まで、全然気づきませんでした。」と、

以下の様なことを話してくれます。

 

・パソコンのキーボードを力強く押す

・ペンを強く握りしめて字を書く

・物を持ち上げる時に息を止めている

・上司から指示を受けている時に息が止まっている

・急いでいると、肩に力が入っている

・マグカップやドアノブなど必要以上に指先に力が入っている

・お箸を持つ手が必要以上に力が入っている

 

などです。

 

このように、何気ない普段の生活の中で、案外、体や指に負担を

かけている可能性は多くあるようです。

 

些細な事でも、日々積み重ねられることで、まるでコップの水が

あふれるかのように、限界を超えた時に初めて痛みが出る場合もあります。

 

だからこそ原因がわからず、「何で私が腱鞘炎になってしまうの?」

と悩んでしまうのです。

 

自分の状態を知ることができれば、

何故、腱鞘炎になったのかを知ることができますし、

次に何をすべきかも見えてくるはずです。

 

今までと同じ生活をしていても、体の動かし方を変えるだけで、

「手をできるだけ使わないようにする」ということは可能になるのです。

 

例えば、患者さんからの生活面での気づきを元に、

アドバイスする一部としては以下の様なものがあります。

 

・動作を少しゆっくりに変える

・息が止まっていたと気づいたら、数秒でいいので、

目線を遠くにしてゆっくり深呼吸をする

・片手で物を持たないように、両手で持つ

・家族や同僚に、ご自身の手の状態を伝えて、手伝ってもらう

などです。

 

 

そのうえで、お家でできるセルフケアをお伝えいたします。

◆動作を少しゆっくりに変える

早く動くことは、大きな筋肉を動かすことよりも、体幹や肩などに比べたら

小さい筋肉の方が素早く動かせることができるため、負担が集中してしまいます。

 

動作をゆっくりすることで、指先に負担をかけずに体全体を使い

負担を分散できる動作ができるようになります。

 

日本伝統の礼法の動きは、ゆっくりと優雅に見えます。

これは武道にも通じ、効率の良い動きであり、

体に負担をかけない理にかなった動作であるからこそ、

今日まで、伝承されているのだと思います。

 

ゆっくり動かすだけでも、呼吸も止まりにくくなり、

一つ一つの動作に意識が行き渡る様になります。

 

まずは、「今、私の動き速かったかも?」と思ったら、

少し、ゆっくりな動きに変えてみるとよいでしょう。

 

思いのほか、手の負担が減ると思いますよ。

・息が止まっていたら、数秒でいいので、目線を遠くにしてゆっくり深呼吸をする

 

 緊張状態にある時、息を止める傾向にあるようです。

動物に備わった危険回避の準備行動でもあります。

危険を察知した時、一種運息を止めて体に為を作って息を吐くと同時に、

爆発的な力を発揮するためです。

野生の世界では、ストレスの時間は短いのですが、

 

人間界では、生死やり取りはないものの、長いストレスにさらされてしまいます。

長い体の緊張は、体に負担をかけ、やがて痛みとなって表れてきます。

 

ご自身を観察してみてください。

もし、呼吸が止まっていたり、呼吸が浅くなっている、と、

気づいたら、次のようなことをしてください。

 

・目線を遠くにする

(気道を拡がり呼吸をしやすくなる)

・ゆっくり鼻から息を吸って

・ゆっくり鼻から息を吐く

吸う・吐くを1セットとし、3セット行います。

 

これだけでも、体の緊張を開放するきっかけになります。

◆片手で物を持たないように、両手で持つ

物を持ったり扱ったりする時は、片手だけを使うよりも

できるだけ両手を使うと痛みのある手に負担をかけないように

することができます。

 

片手だけより両手を使えると、体幹の大きな筋肉も動員でき、

片手を添えるだけでも、動作がゆっくりになり、

相乗的に手の負担を軽減してくれます。

 

とかく、急いでたり、焦っていると、片手での動作が増え、

手や指に負担をかけてしまいます。

最初は難しいかもしれませんが、急いでいる時こそ、

意識して、両手での動作を、心がけてみましょう。

 

案外その方が効率よい動きになる場合もありますよ。

◆家族や同僚に、ご自身の手の状態を伝えて、手伝ってもらう

腱鞘炎になる方の多くの共通点に、責任感が強く、

「自分がやらなくちゃダメ!」という傾向があるように思えます。

 

痛みを改善するためには、今までの習慣を思い切って変えてみる

良いチャンスです。

考え方を変えることは、大変であり、勇気のいることですが、

試しにやってみてはいかがでしょうか。

 

ご家族や職場の同僚は、あなたに「何かしてあげたい!」と、

きっと、思っているはずです。

 

ある患者さんは、勇気を振り絞って旦那さんに、

「私、指の痛みを早く治したいから、家事を手伝ってもらえないかな?」と

伝えたそうです。

 

旦那さんは以前から「助けてあげたい。」と思っていたそうですが、

具体的に何をしたらいいのか迷っていたそうです。

 

同じように職場でも話したら、チーム全体でご本人の抱えている

仕事を分担してくれたそうです。

 

「誰もわかってくれない。」と勝手に思い込んでいたそうですが、

声に出さないと、伝わらないし、という事はあります。

 

腱鞘炎の辛さを家庭や職場で伝えたことで、

痛みを我慢してストレスを一人で抱えることがなくなり、

回復が早くなりました。

 

あなたが、もし一人で悩んでいたら、抱え込まずに、

大切な家族や友人に話をしてみてください。

 

みんなもそれを待っていますし、人望の厚いあなただからこそ、

 

助けたいとみんな思っているはずです。

こちらに来られる多くの方は、お医者さんから、

「手をできるだけ使わないように安静にしてください。」と

言われますが、

 

体の使い方を変えるだけ、環境を少し変えてみるだけでも、

手の負担を減らすことのできる方法をお伝えしました。

 

ぜひ、できる範囲からやってみてください。

 

 

腱鞘炎の痛みはとても辛いものです。

でも、その辛さを克服して以前より生活を楽しんでいる方は、

痛みをチャンスととらえ、生活を変えた方々です。

 

それは大変なことであり、勇気のいることかもしれませんが、

まずは、一歩踏み出してみませんか。

 

きっと、より良い人生になるはずです。

 

何か、お聞きしたいことなどの相談がございましたら、

お気軽に電話してください。

 

必ずお伝えすることがあるはずです。

 

お大事になさってください。

からだ  たから だから

ボデイケアたなか

 

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