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手根症候群の術後の痛みを克服してピアノを弾けるようになったYさん

手根管症候群の手術後に、こちらに来られる方は、少なくありません。

Yさんも、そのお一人で、内視鏡による手根管症候群の手術をされた

50代女性の方です。

1.最初のしびれは大したことはなかったのに

Yさんが、手の違和感に気づいたのは、朝起きた時のしびれでした。

最初の頃は「寝方が悪いのかな?」と、思ったそうですが、

徐々にしびれる時間が長くなりました。

 

その後、半年余りで、ジンジン熱くなるような痛みや、

電気が走るようなしびれに変わり、

睡眠中も何度も起きてしまう程になったそうです。

 

あまりの辛さから、「手を切り落としたい!」と、思うことが

何度もあったと、Yさんは当時のことをお話しくださいます。

 

「体が、どうにかなってしまったのでは?」そう不安に思い、

病院へ行ってみることにしました。

 

病院では、血液検査や神経の伝わり、しびれを確認するテストなどをして、

お医者さんから、「手根管症候群ですね。」と、聞きなれない症状名を

告げられました。

 

そのうえでお医者さんからは、

「このままだと、症状がどんどん悪化していくので、手術が必要ですよ。」と、

言われました。

Yさんは、一瞬、何を言われているのかわからず、

 

しばらくして事の重大さを自覚し、放心状態になってしまったそうです。

2.手根管症候群の手術を決断

Yさんのお仕事は、診療所で事務をされています。

事務仕事といっても、所内のお掃除や患者さんや高齢者の方の介添えなど、

体を使うことも結構あるそうです。

 

Yさんは、物腰の柔らで、丁寧な受け答えのできる方です。

きっとお勤めの診療所に来られる患者さんにとっては、

Yさんの存在は、安心感と癒される大切な存在なのだと感じる方です。

 

Yさんは、できるだけ同僚や家族に迷惑をかけまいと、

手のことは、話さないようにしていましたが、

ある時、辛そうなYさんを見て心配してくれた同僚に、

その訳を話しました。

 

同僚からは、「全然痛そうにみえないけど、大変だね。」

「病院での治療はどうなの?」「薬は効いた?」など、

心配してくれました。

 

同僚も、「私も腰がずっと痛くて辛いのよ。」と、知らされて、

みんな大変だから、掃除や介添えなど替わってくれ、とは言えないな。と、

Yさんは、改めて思ったそうです。

 

その後も、手の感覚が無くなってしまうことなど進行は止まらず、、

家事をしていても洗い物を落としてしまうことがありました。

 

「普通にできていたことができないことが、何より辛い。」と、

泣いてしまうことも、あったそうです。

 

手の感覚が無くなってしまうと、患者さんの介添えができなくなって、

みんなに迷惑をかけてしまう。

包帯やギブスをするようなケガではないので、中々その辛さを職場でも

家族にも理解してもらえない歯がゆさもあり、「とにかく早く治さなければ。」

という気持ちが強くなりました。

 

インターネットで手術に関して検索すると、

術後に、しびれや痛みが引かない。という書き込みもあり、

不安な要素もありましたが、何よりも、このままの生活が続くことの方が

 

辛く、Yさんは手術を決断しました。

3.手術をやって良かったけど、、、

実際、手術を受けてみると、あっけないほど簡単に終わり、

その日のうちに自宅に帰ることができました。

 

以前は辛かった、睡眠中の痛みやしびれは、その日の夜から

無くなりました。

 

ぐっすり眠れた朝は、「手術をやって本当に良かった。」と、

心から思ったそうです。

手の感覚も戻り、洗い物を落とすこともなくなりました。

 

 

ただ、少し不安になることはありました。

激しい痛み出はないものの、日中、手術の傷口付近にジクジクした痛みが残り、

手のこわばりが、増したようでした。

 

お医者さんに相談すると、「痛みは、6カ月位は続くかもしれません。」と、

説明を受けました。

 

Yさんは、「そんなものなのかな」と、とりあえず納得し、

教えてもらったストレッチを欠かさず毎日続け、痛みやこわばりが引くのを

待ち望んでいました。

 

しかし、手術から6カ月を経過しても痛みやこわばりが一向に引かないので、

再度、病院へ行ってお医者さんに伺うと、

 

「回復期間は人によって差があるので、Yさんの場合は、

もうしばらくかかるかもしれませんね。」と、告げられました。

 

お医者さんの言う様に、「もうしばらくの辛抱かな。」と、思う反面、

目に見える変化が感じられなかったので、「私の手、大丈夫なのかな?」

という思いが日増しに強くなっていったそうです。

 

手術後6カ月経過した時のYさんの手は、

 

・手を床をつこうとすると手首に痛みと指先にしびれを感じる

・しびれの範囲は減ったが、一部にしびれが残っている

・こわばりは1日通してあるが、朝は特に辛い

・傷口は、まだ痛みを感じ包丁などあたると痛い

 

と、いう状態でした。

 

 

手術の前に比べたら、ずいぶん楽になり、

友達からも、「前より痛みがなくなって良かったね。」と、

言ってくれるのですが、

Yさんは、手術をすれば、以前の様に手に戻ることを期待していました。

 

何故ならYさんは、子供の頃から続けている“ピアノを再び弾きたい”

という気持ちが強かったからです。

 

痛みやこわばりは、指先の細やかな動きを損なわせ、

思う様にピアノを弾くことができません。

 

Yさんにとってピアノはかけがえのない存在です。

仕事や家事で疲れた時も、ピアノを弾くと心が落ち着くそうで、

趣味以上の心のよりどころの様な存在なのです。

 

「ピアノはあきらめたくない。」「何かできることをしたい。」

その思いが、こちらに来られる動機だそうです。

 

4.手術でも改善しないのは

   ・・・・硬くなった筋肉による2つの要素があるから

手根管症候群の手術をしても、痛みやしびれが残ってしまうのは、

本来なら柔軟であるはずの筋肉が、硬くなってしまったことで、

体に不調をきたすと考えています。

 

ここでは、手根管症候群の方に多い、硬くなった筋肉からくる2つ要素をご紹介します。

要素1.

 手根管の中を圧迫する硬くなった筋肉

手根管は、手首の骨と靭帯で作られる狭いトンネル状のものです。

その中に指を曲げる9本の腱(筋肉の先の組織)と、

 

正中神経が1本通っています。

httpswww.yamadachiroshinkyu.comより出典

指を曲げる筋肉の多くは前腕部(肘から手首にかけての部分)にあり、

 

筋肉が収縮することで、その先にある腱が動き、指を曲げることができます。

本来なら柔軟に伸び縮する筋肉ですが、

伸びにくく、縮みやすい筋肉=と硬い筋肉になってしまうと、

筋肉の先にある腱といつも以上に、引っ張り続ける状態が続きます。

 

腱はその引っ張りに耐え切れず炎症を起こし腫れ、太くなってしまうのです。

 

そのような状態が続くと、腱周辺にある手根管の靭帯も厚くなる

(肥厚)ことも、あるようです。

 

手術をしても、痛みやしびれが残る場合は、指を曲げる筋肉の硬さを

解消する必要があります。

でもストレッチは注意が必要

筋肉を柔軟にする方法として、ストレッチを思い浮かぶ方は多いかと思いますが、

有効ではない場合があるので、ご注意ください。

 

Yさんも、手首や腕などのストレッチをずっと続けていましたが

ストレッチをやっていると、むしろ、指先にしびれを長い時間、

感じるようになったそうです。

 

ストレッチは、とても良いケアなのですが、

手根管症候群の痛みやしびれで体が過敏になっている状態の時は、

筋肉を伸ばすストレッチの刺激がかえって、筋肉の緊張につながる

ことがあるので、やめたほうが良い場合があります。

 

Yさんには、ストレッチを一旦やめてもらい、しびれが少し楽になったところで、

筋肉の緊張をとるセルフケアを紹介し、毎日やっていただきました。

要素2

神経の経路を圧迫する硬くなった筋肉

手根管症候群の患者さんの多くのは、肩が凝っている方が多く、

肩からワキ、腕の付け根の筋肉が硬い傾向にあります。

 

Yさんにも、同様な状況がみられました。

このような場合には、手根管に至るまでの神経経路のどこかに

圧迫があることを予測します。

 

http380608.comより出典

手根管の中を通る正中神経は、図の様に首から出発して、

 鎖骨→ワキ→腕→手根管→指、というように長い経路でつながっています。

httpwww.i-l-fitness-jp.comより出典

例えば、蛇口からホースで花壇に水をやろうとしても、

ホースの途中を踏んづけてしまうと、ホースの先からは水が、

チョロチョロになるように、硬くなった筋肉が神経の経路のどこかで、

圧迫すると、神経の働きに支障をきたし、体の危険信号として、

痛みやしびれなどを起こします。

胸肩周辺の筋肉が硬い方に、【図】の様に、腕を上げて寝ていただくと、

 胸から腕のつけね周辺の神経が圧迫され、手にしびれを感じます。

httpsguu-guu.comより出典

Yさんにも同様に、同じポーズをとっていただいたところ、

指先にしびれを感じられました。

 

手根管症候群の改善には、この2つの要素に適切な方法でアプローチすることが

 不可欠だと言えます。

5.あきめずに頑張ったYさん

Yさんは、施術を受けるのと並行して、普段の生活では、セルフケアや

手に負担をかけない体の使い方を実践していただきました。

 

手術後の場合、切開した傷口周辺の組織が硬くなってしまうこともあって、

回復に時間を要す場合がありますが、Yさんは、頑張りの甲斐あって、

4カ月後には痛みとしびれはなくなりました。

 

そして、以前の様に違和感なくピアノを弾けるようになりました。

 

「手を切り落としたいなんて言っていたかことがウソのようです。」と、

話をしてくださる、Yさんの笑顔を見ていると、

「お手伝いができて、本当に良かった。」と、心から思えます。

 

手術をする決断や、その後もあきらめずに改善に意欲を向けたからこそ、

今の喜びを得ることが出来たのだと思います。

 

Yさんの姿勢は素晴らしく、私も見習いたいです。

6.ご自身のお体を大切にしてください

手根管症候群の治療において、手術を選択されることはあるかもしれませんが、

それまで、体に負担をかけ続けてきた生活を改善しないと、

たとえ手術をしたとしても、痛みやしびれが残る場合もあります。

 

一生お付き合いする大切なお体です。

この機会に、ご自身の身体を見つめ、これからもより良い生活を

送れるようにしてはいかがでしょうか。

 

手根管症候群で、手術をする前や手術後など、ご相談やお聞きしたいことなど、

ございましたら、お気軽にこちらまでお電話ください。

必ず、お伝えすることはあります。

 

何よりご自身をお大事にしてください。

からだ  たから だから

ボデイケアたなか

 

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