野球肩の方の多くは、
肩甲骨周辺の筋肉のバランスが崩れていることがあります。
野球肩は、健康上腕関節周辺で痛みが起こるので、その関節に関わるインナーマッスルが
フォーカスされがちですが、肩の動きは、肩甲骨が大きく関わっています。
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肩甲骨の動きが悪くなることは、腕の振りに加え、下半身からの力の伝達が上手くできずに、
体全体の連動を狂わし、肩に必要以上の負担をかけるようです。
肩甲骨は、普段は自分で目視できない部位であるために、
ケアが不足気味な傾向にあります。
今回は、なぜ、肩甲骨が大切なのかを知ってもらい、何をすべきなのか、
お話いたします。最後までご覧ください。
◆肩甲骨は筋肉の影響を受けやすい
肩甲骨は、背中に対に存在し逆三角形の扁平な形で、
肋骨との間に肩甲胸郭関節を成しています。
僧帽筋、前鋸筋、菱形筋、肩甲挙筋により胸郭(肋骨)上に肩甲骨を
保持するために存在している関節機能(生理学的関節とも呼ばれています)で、
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骨ではなく、筋肉によって支えられている関節のため、
いろんな動きが可能となります。
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その反面、膝や肘の様に骨による支えがないため、肩甲骨は、お互いを支える筋肉の
状態でアンバランスを起こしやすい場所とも言えます。
野球肩からの早期回復や野球肩の予防のためにも肩甲骨周辺のバランスを保つことは
大切ですし、結果的に球速を増すことなどパフォーマンアップにもつながります。
◆投球時における肩甲骨の役割
① 肩甲骨がインピンジの予防
腕の動きに合わせて肩甲骨も連動します。
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例えば、肩甲骨を片手で動かないように固定すると腕は上までは上がらず、
詰まった感じがするはずです。
肩甲骨が動くことで、肩関節の可動域を増やし上腕関節の負担、
関節内が衝突するという意味の(インピンジメント)を抑制してくれます。
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② 肩甲骨が腕の振りの中心となることで大きな力を生む
力んで投げようとすると腕に頼る投げ方になる傾向がありますが、
体を使って投げるとムチがしなるような加速が生まれます。
それは、下半身や体幹の大きな力がスムーズに指先まで伝わった時、
しなやかな動きになるのです。
肩甲骨は、体幹の力を腕に伝える部位です。
肩甲骨は、僧帽筋と前鋸筋が、回転ドア(下図)の様に、円を描くように協調した
活動によって発生するフォース・カップルによって、ムチがしなるような動きが
できるようになります。
③ 対角回旋動作における下肢・体幹・上肢への運動伝達
投球動作は、全身を使う連動動作です。
体幹の動きでいえば、歩行動作も似ていると思います。
例えば、歩行動作では、左足が前(骨盤左側が前)に出る時、右肩が前に出でます。
肩甲骨を意識して腕を多きく振ると、体幹の回旋も大きくなりその力が骨盤を通じ、
下半身に推進力として伝わります。
骨盤も同様に骨盤の前後を意識して動かすと、体幹の回旋も大きくなり肩甲骨を通じて
腕の振りも良くなります。
投球動作では、歩行動作よりもダイナミックに対角回旋動作となり、
下半身からの力を、できるだけそのまま指先のボールに伝えるために、
肩甲骨の動きは、とても重要だと言えます。
◆肩甲骨の動きを確認する
野球肩の患者さんは、肩甲骨周辺の筋肉が硬い方が多いのですが、
目視できないので自覚できない部位と言えます。
患者さんにもご自身の状態を知っていただくことは、今後のコンディションの
管理のためにも大切です。
ここでは、肩甲骨周辺の硬さを観るための方法をお伝えします。
・横向きに寝ていただき、天井側の腕を頭の方に挙げる時、
肩甲骨があまり動かず腕しか上がらない方がいます。
・天井に顔を向けるように上向きに寝ると、利き腕の肩が床から浮く方は、
肩甲骨や胸部の硬さが疑われます。(下の写真は左肩が浮いています。)
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・横向きになって両ひざをそろえ股関節を90°に曲げます。下側の手で両ひざを押さえ、
上側の手で上体をひねるように引っ張り、肩が床につかない場合、肩甲骨、胸郭の
硬さを疑います。
httpsyogajournal.jpより出典
上記の方法で肩甲骨回りの硬さが確認出来たら、次に何をすべきかお伝えします。
◆肩甲骨の動きを戻すために何が必要か
肩甲骨の動きを良くするために何をすべきでしょうか?
リハビリを行う上で、トレーニングは欠かせないものですが、
まずは、筋肉を緩めることを私はお勧めします。
肩甲胸郭関節は、肩甲骨周辺の筋肉のバランスによって動かすことができます。
ですので、拮抗(つり合う)する筋肉のバランスがとても大事になります。
野球肩のリハビリに、トレーニングを取り入れることがありますが、
リハビリでのトレーニングは難しく、どうしても、使いやすい筋肉や
動かし方のクセなどで、ターゲットにしたい筋肉を中々強化できないことも
あるようで、かえってアンバランスを生みかねない状況になります。
また、筋肉には筋繊維タイプというものがあり、大きく分けるとタイプⅠ筋繊維
とタイプⅡ筋繊維です。
例えば、肩甲骨の内側に付く菱形筋は、タイプⅡ繊維が多く存在する筋肉と
言われていますので、トレーニングは低負荷、高回数で行うことが有効です。
高負荷、低回数で行うと僧帽筋が効いてしまうので、菱形筋をターゲットにする
ことが出来なくなります。
私自身、長年ウェイトトレーニングを行っていたので、ある特定の筋肉や
拮抗筋をバランスよくトレーニングをすることの難しさは実感しています。
ですので、野球肩のリハビリでは、筋肉を鍛えでバランスを整えるより、
柔軟を柔軟にしてバランスをとる方が簡単で効果的だと言えます。
次に、実際の方法をご紹介したしまうので、無理のない範囲で
ぜひやってください。
◆肩甲骨周辺筋を柔軟にするケア
1.四つん這い体操
・肩甲骨、背骨、骨盤の柔軟性と連動性に効果的です。
詳しくは動画を参照してください。
2.肩ストン
【やり方】
① 腕全体を天井に伸ばす
② 肘は曲げずに肩の力を抜いてストンと肩を落とす
③ ①・②を10回程度繰り返す
3.TT体操
【やり方】
① 写真の様にTの様に手を広げる
② 左右の手を更に左右に伸ばす
③ この時、肩甲骨の間が広がるよう意識して10回程度行う
httpswww.kyotoliving.co.jpより出典
4.立甲
【やり方】
① 四つん這いになって、頭を下げる
② 肩甲骨はそのままで肋骨を床へ落とすイメージで
・鏡を見ながら行うとイメージしやすい
・片手ずつ足踏みするように行うと立甲しやすい
◆野球肩は治らない症状ではない
患者さんの中には、長年の方の痛みに付き合いながら、だましだまし
野球を続けていますが、「昔の様に、思いっきりボールを投げたい。」と、
そろっておっしゃいます。
病院や治療院へ何度も通っても改善しなければ、諦めざるえないと
思いますが、野球肩は決して治らない症状ではなく。
肩を含めて体の状態をしっかりとられ、段階を踏んで治療していけば、
治る症状です。
以前の様に思いっきりボールを投げ、心の底から野球を楽しめるよう
私は、精一杯サポートいたします。
一緒に頑張りましょう。
もし、野球肩に関して、お聞きしたいことがありましたら、
お気軽にお電話ください。
必ずお伝えすることがあります。
お大事に。
からだ は たから だから
ボデイケアたなか
Tel:090-8328-9834
〒392-0017
長野県諏訪市城南1‐2124‐4